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海馬の変化が起こるのはおそらくメスだけだろう。 女性ホルモンであるエストロゲンは、発情期のある時点で海馬の細胞を増やす働きをするのだ。
生まれたての細胞ほど損傷を受けやすい。 ただし、ほかの年代のメスではこうした損傷は起こらなかった。
つまりティーンエイジの女の子にとって、ニコチンはとても脳に悪いのである。 別の研究では、思春期のラットの脳をニコチンにさらすと、なぜかセロトニンの濃度が低くなることもわかった。
これはうつ病の危険がかなり高くなっている目印だ。 細胞レベルでの免疫システムも、本来の半分程度に落ちていた。
ラットでわかった研究結果は、人間のティーンエイジャーにも通じるとSは思っている。 実際、ティーンエイジャーの喫煙者に当てはめると納得できることが多い。
タバコを吸う子は感染症やうつ病にかかりやすいことがわかっている。 それはニコチンに「燥踊された」脳のなかで、配線ミスが起こったからではないかとSは推測する。
マサチューセッツ大学メディカル・センターのJ・Dたちの研究では、思春期の女の子は男の子より喫煙が習慣になりやすいことがわかった。 「思春期は脳細胞がまだ成長しているし、配線作業も続いていて、神経伝達物質も変化している。

そのためこの時期にニコチンを浴びると、神経接続にかなり大きな変動を与えることになる」とS。 さらに免疫システムも標的になる。
少なくともラットの場合は、おとなになり、ニコチン摂取をやめてからずいぶん時間がたったあとでも影響が出る。 Sの同僚のひとりであるE・Lは、おとなより思春期のラットのほうが、ニコチンの自己投与行動を学習するのが速いことを確認している。
思春期にニコチン投与を始めて成長したラットは、おとなになったあとでニコチンに接したラットと比べて、自己投与量も2倍になった。 「ニコチンは、おとなになる前の最終的な仕上げ作業に影響を及ぼしているようだ」とLは推測する。
これまで科学がそういうことを知らなかったのも無理はない、とLは言う。 ティーンエイジャーの脳はおとなと同じだと思われていて、長いあいだ研究者から無視されてきたからだ。
ティーンエイジャーによく処方される抗うつ剤にしても、長期的な影響はまだ確認されていない。 また避妊ピルも、25歳ならまだしも14歳で服用を始めると、大量のエストロゲンを摂取することになるが、その副作用も未知数なのである。
ただし、思春期の脳も悪いことばかりではない。

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